「タコピーの原罪って、誰が死んでしまうの?」
「話が重いって聞くけど、どういう意味で“原罪”なの?」
──そんな疑問を抱えてこの記事にたどり着いた方も多いはずです。
本作には直接的な“死”だけでなく、描写のない“喪失”も含め、物語を大きく動かす出来事がいくつも登場します。そしてそれらは、すべて“罪”と“救い”という深いテーマと結びついています。
この記事では、ただ死亡キャラを紹介するのではなく、「なぜ死が必要だったのか」「その死が何を残したのか」までを丁寧に解説します。重いけれど目をそらせない、そんな『タコピーの原罪』の本質を一緒に辿ってみませんか?
✅ この記事で分かること:
- 『タコピーの原罪』に登場する死亡キャラは誰かが分かる
- チャッピーやまりなが“なぜ”命を落としたのかが分かる
- 死が物語のどこに影響を与えたかが分かる
- タコピーが背負った“原罪”の正体が分かる
- 最後にタコピーが選んだ未来の意味が分かる
結論|『タコピーの原罪』における死亡キャラは3人+1匹

まず結論からお伝えすると、『タコピーの原罪』に登場する死亡キャラは3人+1匹です。
物語の各所で重要人物たちの“死”が描かれ、それぞれが大きな意味を持っています。
死亡キャラ | 死亡の背景・描写 | 物語への影響 |
---|---|---|
チャッピー | いじめを受けて失踪。直接の死亡描写はなし | しずかの精神崩壊とタコピーの行動のきっかけに |
雲母坂まりな | 小学生編でタコピーが誤って撲殺 | 掟違反・原罪の発端となる衝撃的事件 |
まりなの母親 | 高校編でまりなが告白。「殺した」と語られる | タコピーの記憶喪失の引き金。まりなの苦しみの核心 |
しずか(未遂) | 首吊り自殺を図るがタコピーにより救出される | 生き延びるも“死に向き合った”存在として描かれる |
これらの“死”はすべてが物語に深く関わっており、「誰かを救いたい」という思いが、時に取り返しのつかない行動につながってしまうことを象徴しています。
単なるショッキングな出来事ではなく、それぞれの死が登場人物の変化・成長・贖罪への行動を促す起点となっており、タイトルの通り「原罪」と向き合う物語構造の根幹に関わっています。
次の章からは、それぞれの死亡キャラがどのような経緯で命を落とし、誰に何を遺したのかを、時系列に沿って詳しく解説していきます。
最初の喪失──チャッピーの死は偶然か必然か?

『タコピーの原罪』の物語は、可愛らしいビジュアルの裏に潜む重くシリアスなテーマが読者の心を打ちます。
中でも最初に訪れる“喪失”が、しずかの愛犬チャッピーの不在です。
直接的な死亡描写はないものの、チャッピーが戻ってこなかったこと、そしてそれがしずかの心に与えた影響は、物語の本質を大きく揺るがします。
このセクションでは、チャッピーが戻らなかった理由と、それが物語に与えた意味を丁寧に読み解きます。
なぜチャッピーは戻ってこなかったのか
しずかにとってチャッピーは、家にも学校にも安心できる居場所がない中で、数少ない心の支えでした。そのチャッピーが物語序盤で姿を消します。
きっかけは、しずかに対して執拗ないじめを繰り返していたまりなの行動です。
まりなは、チャッピーの首輪を外して持ち去り、「チャッピーもいなくなればいいのに」といった言葉を残します。
その後、チャッピーが再び物語に登場することはなく、しずかのもとにも戻ってきません。
チャッピーの安否について、作中では明確に説明されることはありませんが、しずかが深く落ち込む描写からも、その喪失が彼女にとって重大なものであったことは間違いありません。
以下は、作中描写と読者の推測が交差するポイントをまとめた表です。
状況 | 内容 |
---|---|
チャッピーの登場 | 冒頭でしずかと共に登場。精神的な支えとして描写されている |
まりなの行動 | 首輪を奪い、「いなくなればいい」と発言 |
その後の描写 | チャッピーは登場せず、詳細な説明もなし |
読者が受け取る印象 | 明確な死亡描写はないが、戻ってこない=死別と連想する可能性が高い |
ただし、あくまで作中ではチャッピーの死亡が明言されていないため、「死亡した」と断定することはできません。描写の不足ゆえに、読者側に想像の余地が残されているのが特徴です。
その点を考慮すると、「チャッピーが戻らなかった=死亡した可能性がある」という理解は自然ですが、あくまで一つの受け取り方にすぎないことを明記しておくべきです。
チャッピーの死が物語を動かした理由
チャッピーが戻ってこなかったという事実は、しずかの精神状態を大きく揺さぶりました。
母親との関係も希薄で、学校ではまりなからの執拗ないじめに遭っていたしずかにとって、チャッピーは安らげる存在でした。
その存在を失ったことによって、しずかの孤独は極限まで高まり、後の「自殺未遂」へとつながっていきます。
しずかは自室で首を吊るという衝撃的な行動に出ますが、それを発見したタコピーが助け出します。
この瞬間、タコピーは強く後悔し、「もっとしずかをハッピーにしなければ」と決意します。ここから、タコピーの行動は一段と加速し、「ハッピー道具」の使用、そして“掟違反”に近づいていくのです。
以下に、チャッピーの不在が与えた物語上の連鎖を整理します。
チャッピーの不在が引き起こした物語の流れ:
- チャッピーの不在
- しずかの精神崩壊と自殺未遂
- タコピーの行動変化(ハッピー道具の多用)
- 結果としてまりなへの暴力と“罪”へつながる
このように、チャッピーが「いなくなった」ことは、しずかだけでなくタコピーにも影響を与え、物語全体の進行にとって極めて重要なターニングポイントとなっています。
また、チャッピーの描写をあえて曖昧にしている点もポイントです。ペットの死という重いテーマを直接的に描かず、読者自身に「考えさせる」ことで、より深い余韻と印象を残す構成になっています。そのため、チャッピーの“不在”という事実は、結果的にタコピーの行動原理を強調する装置としても機能しているといえるでしょう。
タコピーが殺した…まりなの死の真相とは?

『タコピーの原罪』の中盤、物語が大きく動く出来事が“まりなの死”です。
しずかをいじめていた加害者であるまりなが、なんとタコピーによって命を奪われます。ハッピーを届けに来たはずの存在が、人の命を奪うに至ったこの出来事は、作品のテーマである「罪」と「救い」を大きく浮かび上がらせる重要な転機です。
このセクションでは、まりながなぜ殺されたのか、その後タコピーが何をしたのかを、順を追って丁寧に紐解きます。
撲殺に至るまでの衝撃展開
まりなは物語前半から、しずかへのいじめを繰り返していました。精神的な侮辱だけでなく、しずかの愛犬チャッピーにまで手を出し、さらにはしずかの母親の不倫事情までを暴露するなど、執拗な攻撃を続けます。しずかは孤立し、心の支えを失い、ついには自殺未遂を図るまで追い詰められます。
この状況を目の当たりにしたタコピーは、まりなと“話し合って仲直りさせよう”とします。ハッピー道具「へんしんパレット」を使ってまりなに変身し、しずかと対話しようと試みますが、まりなはそれを嘲笑い、さらにしずかを追い詰めようとします。
そして、事件は突発的に起こります。タコピーがカバンから取り出した「ハッピーカメラ」を振り回した瞬間、まりなの頭部に直撃。まりなは即死します。この行動に明確な殺意があったかは描写されていませんが、「しずかを守りたい」という強い感情の末、タコピーが意図せず行動に出てしまったようにも受け取れます。
ここで注目すべき点は、タコピーが“掟”に反したという事実です。彼はハッピー星人であり、地球の子どもを幸せにする使命を持っています。にもかかわらず、結果的に人間を殺してしまったことで、自身の存在意義を大きく揺るがせる“原罪”を背負うことになるのです。
このまりなの死は、作中で最もショッキングかつ決定的な事件の一つであり、タコピーの「無垢な存在」というイメージを根本から覆します。
死後も“まりな”として生きたタコピー
まりなを撲殺してしまった後、タコピーが取った行動は、さらに衝撃的です。彼はハッピー道具「へんしんパレット」を使い、まりな本人に変身し、そのまま“まりな”として生活を始めます。これは「まりなの死体を隠し、自分が代わりに振る舞う」という重大な行動であり、作品全体でも最も倫理的に曖昧で不安定な場面です。
このとき、まりなの遺体はしずかとしずかのクラスメイト・東直樹によって隠されます。タコピーの姿がまりなになっていることで、周囲は誰も異変に気づかず、学校生活が続いていきます。まりなの家庭も歪んでおり、母親との接触もほとんどなかったため、不自然さが表に出にくい状況でした。
タコピーは「まりな」としてふるまいながら、しずかや周囲との関係を再構築しようとします。表面的には事態が落ち着いたようにも見えますが、根底には大きな罪と違和感が渦巻いています。
以下に、タコピーが“まりな”として過ごした状況を整理します。
観点 | 内容 |
---|---|
タコピーの目的 | しずかを守る/幸せにするためにまりなに変身 |
周囲の反応 | 誰も気づかず、学校生活は継続 |
死体の処理 | 東直樹としずかが手助けして隠す |
精神的な状態 | タコピー自身はまりなになりきることで罪と向き合おうとしている様子もあり |
ハッピー星の掟との矛盾 | 「人を殺してはいけない」「変身で嘘をついてはいけない」ことに反している |
この“成り代わり”の展開は、ファンタジー設定の中にありながら、非常にリアルな恐怖と倫理の問題をはらんでいます。「ハッピーにする」という善意が、結果的に殺人と偽装にまで発展してしまう──ここに、タコピーというキャラクターの“原罪”と矛盾が集約されています。
この事件をきっかけに、物語は明らかに転調し、「ハッピーとは何か」「罪とは何か」「救いはあるのか」という哲学的な問いに向かっていくのです。
タコピーが殺した…まりなの死の真相とは?

『タコピーの原罪』の中盤、物語が大きく動く出来事が“まりなの死”です。
しずかをいじめていた加害者であるまりなが、なんとタコピーによって命を奪われます。
ハッピーを届けに来たはずの存在が、人の命を奪うに至ったこの出来事は、作品のテーマである「罪」と「救い」を大きく浮かび上がらせる重要な転機です。
このセクションでは、まりながなぜ殺されたのか、その後タコピーが何をしたのかを、順を追って丁寧に紐解きます。
撲殺に至るまでの衝撃展開
まりなは物語前半から、しずかへのいじめを繰り返していました。
精神的な侮辱だけでなく、しずかの愛犬チャッピーにまで手を出し、さらにはしずかの母親の不倫事情までを暴露するなど、執拗な攻撃を続けます。
しずかは孤立し、心の支えを失い、ついには自殺未遂を図るまで追い詰められます。
この状況を目の当たりにしたタコピーは、まりなと“話し合って仲直りさせよう”とします。
ハッピー道具「へんしんパレット」を使ってまりなに変身し、しずかと対話しようと試みますが、まりなはそれを嘲笑い、さらにしずかを追い詰めようとします。
そして、事件は突発的に起こります。タコピーがカバンから取り出した「ハッピーカメラ」を振り回した瞬間、まりなの頭部に直撃。まりなは即死します。
この行動に明確な殺意があったかは描写されていませんが、「しずかを守りたい」という強い感情の末、タコピーが意図せず行動に出てしまったようにも受け取れます。
ここで注目すべき点は、タコピーが“掟”に反したという事実です。彼はハッピー星人であり、地球の子どもを幸せにする使命を持っています。にもかかわらず、結果的に人間を殺してしまったことで、自身の存在意義を大きく揺るがせる“原罪”を背負うことになるのです。
このまりなの死は、作中で最もショッキングかつ決定的な事件の一つであり、タコピーの「無垢な存在」というイメージを根本から覆します。
死後も“まりな”として生きたタコピー
まりなを撲殺してしまった後、タコピーが取った行動は、さらに衝撃的です。
彼はハッピー道具「へんしんパレット」を使い、まりな本人に変身し、そのまま“まりな”として生活を始めます。これは「まりなの死体を隠し、自分が代わりに振る舞う」という重大な行動であり、作品全体でも最も倫理的に曖昧で不安定な場面です。
このとき、まりなの遺体はしずかとしずかのクラスメイト・東直樹によって隠されます。タコピーの姿がまりなになっていることで、周囲は誰も異変に気づかず、学校生活が続いていきます。まりなの家庭も歪んでおり、母親との接触もほとんどなかったため、不自然さが表に出にくい状況でした。
タコピーは「まりな」としてふるまいながら、しずかや周囲との関係を再構築しようとします。
表面的には事態が落ち着いたようにも見えますが、根底には大きな罪と違和感が渦巻いています。
以下に、タコピーが“まりな”として過ごした状況を整理します。
観点 | 内容 |
---|---|
タコピーの目的 | しずかを守る/幸せにするためにまりなに変身 |
周囲の反応 | 誰も気づかず、学校生活は継続 |
死体の処理 | 東直樹としずかが手助けして隠す |
精神的な状態 | タコピー自身はまりなになりきることで罪と向き合おうとしている様子もあり |
ハッピー星の掟との矛盾 | 「人を殺してはいけない」「変身で嘘をついてはいけない」ことに反している |
この“成り代わり”の展開は、ファンタジー設定の中にありながら、非常にリアルな恐怖と倫理の問題をはらんでいます。
「ハッピーにする」という善意が、結果的に殺人と偽装にまで発展してしまう──ここに、タコピーというキャラクターの“原罪”と矛盾が集約されています。
この事件をきっかけに、物語は明らかに転調し、「ハッピーとは何か」「罪とは何か」「救いはあるのか」という哲学的な問いに向かっていくのです。
“ハッピーの掟”に背いたタコピーの代償とは?

『タコピーの原罪』において、タコピーは“ハッピー星人”として地球に降り立ち、子どもを幸せにする使命を帯びて行動していました。
しかし、まりなを撲殺してしまったことで、その使命と真っ向から矛盾する行動を取ってしまいます。これはハッピー星のルールである「掟」に反する重大な違反であり、タコピーはその代償として“強制帰還”と“記憶のリセット”という処分を受けます。
この章では、その一連の流れと、タコピーが背負った罪について深掘りします。
記憶リセットと強制帰還の全貌
タコピーは、まりなを殺したことでハッピー星人の最大の禁忌──「暴力による問題解決」に手を染めてしまいます。
タコピーたちは「どんなときも暴力を使わず、ハッピー道具だけで子どもを幸せにする」というルールを持っており、これを破った者には厳しい制裁が科せられます。
その制裁こそが、「強制帰還」と「記憶のリセット」です。これは、ハッピー星人としての人格・使命・地球での出来事をすべて消し、再び“まっさらな状態”に戻される措置です。
物語では、まりなを殺して間もなく、タコピーの“監視役”のような存在が現れ、処罰が下されることになります。
処罰の内容とタイミングを以下にまとめます。
処罰内容 | 詳細 |
---|---|
強制帰還 | ハッピー星に半ば強制的に連れ戻される |
記憶リセット | 地球での出来事、しずか・まりなとの関係性を完全に忘れる |
発動のきっかけ | 掟違反(まりな殺害)が判明した後、監視装置のような存在が作動 |
処罰中のタコピー | 抵抗できず、自身の記憶や行動が“抹消”される状況に戸惑う描写あり |
ここで重要なのは、タコピー自身がこの罰を理解できないほど“悪意”を持っていたわけではなかった、という点です。
彼は「しずかを助けたい」という一心で行動したものの、その結果が掟違反と判断され、すべてを奪われることになります。
つまりタコピーは、“意図しなかったが許されない行動”を取ってしまい、自分の意思とは関係なくリセットされてしまう無力さに直面したのです。この強制リセットが、後の「高校生編」における再会や“もう一度やり直す”テーマにも深く繋がっていきます。
タコピーが背負った“原罪”とは何か
『タコピーの原罪』というタイトルにもある通り、本作では“原罪”というキーワードが物語の核をなしています。
そしてその象徴が、まりなを殺したタコピー自身の行為に他なりません。
ここでの“原罪”とは、「善意から始まった行動が、取り返しのつかない結果を生んだこと」を指しています。
タコピーは、しずかを救いたいという純粋な思いで動いていました。ハッピー道具も使い、自分なりに最善を尽くそうとしていたものの、結果的に暴力に頼り、まりなを殺してしまいます。
つまり、タコピーの“原罪”とは以下の3つの要素が複合的に絡んでいます。
原罪の要素 | 内容 |
---|---|
掟違反 | ハッピー星の規範を破り、人間に対して暴力を振るった |
結果として人命を奪った | まりなの命を奪ったことは、タコピーの使命そのものと矛盾 |
嘘を重ねた(擬態) | 死体を隠し、まりなになりすまし、真実を隠して生活を続けた |
さらに、“原罪”の重さを増しているのは、本人がそれを深く理解していなかったことです。
タコピーは決して悪意で行動していたわけではなく、逆に「善意」と「責任感」が強すぎたがゆえに罪を犯したとも言えます。
そこにこそ、本作のタイトルに込められたメッセージ性が強く表れているのです。
このように、タコピーが背負った原罪とは、「良かれと思ったことが、結果として誰かを不幸にした」という、人間的なテーマそのものでもあります。これは、読み手にとっても「正しさとは何か?」「本当に人を幸せにするとはどういうことか?」という問いを投げかける形になっています。
高校編で明かされる“母親殺し”

物語後半──舞台が高校時代に移ったことで、『タコピーの原罪』は新たな局面に突入します。
しずか・まりな・直樹の3人は、過去の出来事を抱えながらも再会を果たしますが、その裏で読者の想像を超える衝撃的な事実が明かされます。
それが「まりなが母親を殺していた」という告白です。まりなの家庭に潜んでいた問題、そしてそれがタコピーの“記憶消失”とどのように関わっていたのか。
本セクションでは、高校編で明かされた真実と、タコピーが再び過去と向き合う展開を解き明かします。
まりなが語った衝撃の過去
高校編では、まりながタコピーに向かって自身の過去を語る場面が登場します。
その内容は、読者に強い衝撃を与えるものでした。
まりなは、幼少期から母親との関係に深い苦しみを抱えていました。愛されている実感を持てず、褒められず、日常的に否定され続ける中で、精神的に追い詰められていきます。そしてある日、限界を超えたまりなは、母親に対して手をかけてしまいます。
作中では「殺した」とはっきりと語られますが、その具体的な方法や状況は描かれていません。ただし、まりながその行為を“後悔”や“反省”ではなく、「自分は愛されないまま生きていく運命だった」と受け入れている様子から、彼女が背負ってきた孤独と諦めの深さが伝わってきます。
この告白が重要なのは、まりなの人格形成だけではなく、タコピーがなぜ記憶を失ったのかという次の展開に直結することです。
以下に、まりなの告白内容と物語への影響を整理します。
項目 | 内容 |
---|---|
告白の場面 | 高校生編。タコピーに対して打ち明ける |
内容 | 「私はお母さんを殺した」 |
背景 | 幼少期からの愛情欠如、精神的虐待 |
感情 | 悲しみよりも“諦め”が強く、自己否定的な態度 |
物語上の意味 | タコピーの記憶消失の真相に直結する重要トリガー |
まりなの母親殺しは、幼少期のいじめや家族問題の“答え合わせ”でもあり、しずかの受けた苦しみとは別軸の“家庭の闇”を浮き彫りにする事件でもあります。
タコピーが記憶を失った本当の理由
高校編の最大のミステリーのひとつが「なぜタコピーは記憶を失っているのか?」という点です。まりなやしずかと過ごしたはずの時間を、タコピーはまったく覚えていません。
その理由は、まりなが語った“母親殺し”と密接に関係しています。
実は、タコピーは事件当時──まりなが母親を殺した現場に偶然立ち会っていたことが示唆されます。まりな本人も「あなたは全部見てたよね」と語っており、タコピーが“その現場を見てしまった”ことが確定します。あまりにも衝撃的な光景に対して、タコピーは記憶を消すよう自ら願い出た可能性が語られます。
ここでの記憶喪失は、ハッピー星のテクノロジー的な強制ではなく、「本人の意思で過去を消した」というニュアンスが含まれており、過去の“掟違反によるリセット”とは異なる側面を持っています。
記憶喪失の比較 | 掟違反による記憶リセット(小学生編) | まりなの告白による喪失(高校編) |
---|---|---|
発動原因 | 掟違反(まりな殺害) | まりなの母親殺しという強いショック |
主体 | ハッピー星の監視システム | タコピー本人の意志(またはショックによる拒絶) |
記憶内容 | しずかとの日々、殺人、罪 | 母親殺し、まりなの過去 |
つまり、タコピーが記憶をなくした理由は、「まりなに向けてきたハッピーな気持ちが、救えなかった現実によって崩壊したから」とも読み取れます。この記憶喪失は、彼にとって“原罪の再確認”とも言える重いテーマです。
彼は「子どもを幸せにする存在」であるはずなのに、まりなという存在を何一つ救えなかった──その事実から目をそむけ、記憶を消した。その背景には、善意で人を救うという単純な構造では解決できない“罪の深さ”があります。
誰の死も無駄じゃなかった|“罪と救い”の物語

『タコピーの原罪』は、善意で始まった行動が思わぬ悲劇を生み、誰もが何かしらの“罪”を背負っていく物語です。しかし、絶望の中でも救いや希望は確かに存在しました。
この章では、チャッピー・まりな・まりなの母という死んだキャラクターたちが作品に残したもの、そしてタコピーが最終的に選んだ“やり直し”の未来について整理しながら、「死」と「罪」がどのように“救い”へとつながっていったのかを紐解いていきます。
死んだキャラたちが遺したもの
物語で命を落としたキャラクターたちは、単に「不幸な死を遂げた存在」ではありません。
それぞれが、残された人物や物語全体に強い影響を与え、“何かを遺した存在”として描かれています。
登場キャラごとの「死が与えた影響」
キャラ名 | 死の概要 | 遺された影響・意味 |
---|---|---|
チャッピー | 直接の死亡描写はないが戻ってこない | しずかの精神崩壊 → 自殺未遂 → タコピーの覚醒 |
まりな | タコピーがハッピーカメラで撲殺 | “掟違反”という大罪 → タコピーの強制帰還 → ハッピーの本質を問う |
まりなの母 | まりなが殺害(詳細不明) | まりなの内面に潜む絶望の核 → タコピーの記憶喪失の引き金 |
たとえば、チャッピーの不在はしずかの自殺未遂を招き、まりなの死はタコピーを“加害者”に変え、まりなの母の死は彼女の過去と向き合わせ、物語の根幹を揺るがせました。
重要なのは、これらの死が全て“他者の行動や価値観に影響を与えた”という点です。言い換えれば、「死によってしか変えられなかったもの」が確かにあったのです。
それは悲劇でありながらも、「死をきっかけに罪と向き合う」という構造を通じて、物語を“救い”の方向へと押し出す力になっていたともいえるでしょう。
タコピーが最後に選んだ“やり直し”の未来
物語の終盤、タコピーは大きな選択を迫られます。
すべての罪と過去を知った上で、「何をしてもしずかを救えなかった」と悔やみながら、それでももう一度“やり直す”決意を固めます。
このやり直しとは、過去をなかったことにするためのリセットではなく、過去を背負ったまま、もう一度始めることを意味しています。タコピーは、記憶を取り戻し、再び地球へと降り立つ形で物語が締めくくられます。
ポイントは、「過去の罪を帳消しにしたわけではない」という点です。
まりなを殺した事実、しずかの苦しみ、まりなの母の死──それらは決してなかったことにはなりません。
しかしタコピーは、それらを見てきた者として、「今度こそ幸せにする」「やり直す価値がある」と信じて行動します。
やり直しが意味するもの
- ただの時間の巻き戻しではない(責任から逃げない)
- 罪を認めたうえで、再び関係を築こうとする意思
- “ハッピーとは何か”を、表面だけでなく内面から見つめ直した選択
この選択が、作品における“救い”の形です。誰も完全に許されたわけではなく、救いきれなかった現実もありましたが、それでも「もう一度やり直す」という意志こそが、読者にとっての希望になります。
🟩まとめ|『タコピーの原罪』の“死”が意味するもの
この記事では、『タコピーの原罪』に登場する死亡キャラを中心に、物語の核である“原罪”と“救い”のテーマを時系列で整理しました。
登場人物の死は単なる悲劇ではなく、それぞれの行動や心に大きな変化を与える起点となっており、読後に深い問いを残す仕掛けになっています。
もう一度読み返したくなるような複雑な構造と、誰かを“幸せにしたかった”という切実な想いが交錯する物語──それが『タコピーの原罪』です。
✅ 記事の重要ポイントまとめ:
- 死亡キャラは3人+1匹(チャッピー・まりな・まりなの母・しずかは未遂)
- それぞれの“死”が、登場人物の行動や精神に重大な影響を与えた
- タコピーは“善意”からまりなを殺し、掟違反と記憶リセットを受けた
- 高校編で明かされたまりなの過去が、再び罪と向き合わせた
- 最終的にタコピーは「やり直す」という選択を通じて“救い”を描いた
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